老朽化した賃貸住宅・貸家が建つ大型敷地の活用再構築

敷地を分割し、複数の活用で経営リスクを分散。<br />収支バランスを重視し中長期視点で考える土地活用

大田区 S不動産会社様

老朽化した賃貸住宅・貸家が建つ大型敷地の活用再構築

建築地の立地概要と背景

賑やかな駅前商店街を抜けた住宅街に位置する、老朽化した賃貸住宅・貸店舗・店舗併用住宅の建つ大型敷地。所有者はこのエリアの地主が中心になり設立した創業80年の土地管理会社で、自社で所有する土地の整理・再構築を検討中。株主への配当を考慮しローリスクの安定経営を希望され、広い敷地をどのように分割して活用すればよいか、プロの提案を求めておられた。

大田区

建築地の立地概要

建築前の土地の活用状況 A=築46年の賃貸住宅(1K×24世帯) B=築46年の貸店舗(4区分) C=築80年の店舗併用住宅

  • 沿線・駅
    京浜東北線大森駅
  • 歩・バス
    徒歩7分
  • 相談時の土地利用状況
    賃貸住宅1棟・貸店舗2棟・店舗併用住宅1棟を経営中
  • 接道
    西8.0m
  • 敷地面積
    886.46㎡(約268.15坪)
  • 用途地域
    第一種住居地域・第3種高度地区
  • 建蔽率・容積率
    60%・300%
角地の店舗併用住宅Cは不動産会社創業当時の事務所

角地の店舗併用住宅Cは不動産会社創業当時の事務所。80年間街を見守り続ける

オーナー様の悩みと当初のお考え

所有者である不動産会社のM社長

所有者である不動産会社のM社長

  • 現存の賃貸住宅と貸店舗、店舗併用住宅は経年劣化が激しく補修費負担が大きい。建て替えや他の方法も視野に土地活用の再構築を検討したい
  • 収益を配当として株主に還元するため、イニシャルコストを抑え収支バランスを重視したい
  • 広いが変形した敷地。賃貸住宅にした場合、南側には隣の建物が近接しており、日照面から入居者に敬遠されないかが気になる

 

大規模賃貸は建築資金が増え初期の収支バランスが悪くなるので、初期投資はなるべく抑えて安定した収益を継続的に得るようにしたい。そのためにも収益の追求というより、どちらかといえば入居者確保と長期入居による経営の安定化を優先させたい。

現状と問題点の整理

大規模用地の複合提案という難易度の高い物件であり、計画立案にはさまざまな検討を行った。市場に関しては日頃よりつきあいのある地元大田区で長年の実績を持つ不動産会社の関係を活かし、周辺物件の動向などを詳細に分析。さらに全体計画についての検証も行った。

(1)セキスイハイムによる市場分析結果

周辺地域の募集状況

周辺地域の募集状況

築古の物件、駅から遠い物件は空室が目立つ。長く入居してもらえるような入居者層が望ましい。

周辺の募集物件レポート

調査時点で募集を行っている物件及び過去3ヶ月以内に入居が決定している物件についてのデータを収集して検討した。

物件を距離と間取りで分類した場合

物件を距離と間取りで分類した場合

今回の計画地である~10分のエリアは一番入居が決まりやすいエリアと言える。

物件を面積と間取りで分類した場合

物件を面積と間取りで分類した場合

~30㎡の1Kが多くの入居者を獲得している。ファミリータイプでは部屋数が多いほうが良いようだ。1LDKは苦戦している。

年代別に今後人口がどのように推移するか、2005年の人口を100%としたときの変化率を算出してみた。

物件を面積と間取りで分類した場合

65歳以上人口の増加が大きい。40~60代人口も2005年比で増加しており、この年代の対応が長期安定経営につながるといえる。

  • 立地条件に恵まれ比較的安心して経営ができるエリアだが将来の人口構成も考慮して安定した経営が続けられるような配慮をしたい。
  • 大田区の開発指導要綱があり、15戸以上の計画に対しては多額の費用発生や配置上の制約が生じるので回避したい(下図)。

集団住宅建設事業の開発指導要綱に適用された際、計画への設置が必要となるもの

  • 自動車駐車場2台分の設置
  • 駐輪場20台分の設置
  • 自動二輪駐車場3台以上の設置
  • 雨水の貯留施設・浸透施設の設置

→設置スペースの確保と数百万円の費用がかかる

(2)オーナー様のご要望の検証

建築前の土地の活用状況

建築前の土地の活用状況
A=築46年の賃貸住宅(1K×24世帯)
B=築46年の貸店舗(4区分)
C=築80年の店舗併用住宅

土地の活用法についてのご要望

現存の賃貸住宅と貸店舗、店舗併用住宅は経年劣化が激しく補修費負担が大きい。建て替えや他の方法も視野に土地活用の再構築を検討したい

→立地条件がよく地域的に賃貸経営が十分成り立つエリア。売却等による他の資産活用に比べ、ミドルリスクミドルリターンで収益性とリスクのバランスも良い。

イニシャルコスト抑制による収支バランスに関するご要望

収益を配当として株主に還元するため、イニシャルコストを抑え収支バランスを重視したい

→Cについては当面現状を維持することとし、A・Bの用地をどのように活用していくかについて、いくつかのパターンを検証した。

・パターン1 A、Bの敷地で大型賃貸住宅を経営

パターン1 A、Bの敷地で大型賃貸住宅を経営
<建築費が大きくなる。さらに開発指導によりコストが上乗せとなる(右図)>

・パターン2 A、Bの敷地でコインパーキングを経営

パターン2 A、Bの敷地でコインパーキングを経営
<小規模住宅用地の軽減特例が受けられないため、固定資産税も大幅に増額となる>

・パターン3 Aを賃貸住宅、Bをコインパーキングで活用

パターン3 Aを賃貸住宅、Bをコインパーキングで活用
<ミドルリスクミドルリターンで安定した経営が可能>

→検証の結果、パターン1が最善策と判断。さらに時間をおいてBにも賃貸住宅を建築するパターン4も提案し、10年後をめどに検討していただくことにした。

・パターン4 将来Bの敷地でも賃貸住宅を経営

パターン4 将来Bの敷地でも賃貸住宅を経営
<次の計画までに一定期間をあければ開発の指導は受けない。1棟目の収支を考慮しながら次の計画に移れる>

集団住宅建設事業の開発指導要綱に適用された際、計画への設置が必要となるもの

  • 自動車駐車場2台分の設置
  • 駐輪場20台分の設置
  • 自動二輪駐車場3台以上の設置
  • 雨水の貯留施設・浸透施設の設置

→設置スペースの確保と数百万円の費用がかかる

担当者 桃井薫

  • 担当者 桃井薫
    資産活用営業部 店長
  • 資格
    ファイナンシャルプランナー
    福祉住環境コーディネーター
  • 得意分野
    ・将来的な相続率を見据えた土地の活用提案
    ・賃貸住宅/賃貸併用住宅の提案

敷地の有効活用についてのご要望

広いが変形した敷地。賃貸住宅にした場合、南側には隣の建物が近接しており、日照面から入居者に敬遠されないかが気になる

→今回の敷地規模での計画であれば設置スペースの確保やコストアップを避けるため、14戸以下の計画で進めることが最適と判断。日照面については天空率制度を活用した配置計画を行い、最大限日照を確保していく配置計画を提案していくことを決めた。

敷地利用計画の考察

A案●イニシャルコストを抑え、南面採光を重視したプランニング

まず、イニシャルコストを抑えるためコンパクトな2階建ての賃貸住宅にした場合、どのくらいの広さ・間取りの部屋が何世帯とれるのかシミュレートしてみた。

A案●イニシャルコストを抑え、南面採光を重視したプランニング

北棟  1LDK(43㎡)×4世帯
南棟  1LDK(48㎡)×2世帯 2LDK(58㎡)×2世帯
合計  8世帯

A案についての考察

  • 各世帯のプライバシーを保つよう配置し、北棟は南側日照も確保した
  • 世帯数が少ないため、賃貸収入は多くを期待できない
  • 南棟へのアプローチや北棟の日照確保で敷地にロスが生じる
  • 南棟へのアプローチ通路は、南棟の存する限り通路としての形態を保持しなければならず、将来の活用はできなくなる

B案●イニシャルコストは増えるが敷地を無駄なく活用した中規模1棟建ての場合

次に敷地を一体的に使用し、ワンフロアの部屋数を増やした中規模1棟建てをシミュレーションしてみた。A案で必要だった南棟へのアプローチは必要ないため、北側の計画地に組み入れる。

B案●イニシャルコストは増えるが敷地を無駄なく活用した中規模1棟建ての場合

2階建1LDK(48㎡)×10世帯

  • イニシャルコストは増えるが、世帯数も多く家賃収入でカバーできる
  • 敷地にロスが発生せず、有効に使うことができる
  • 北側の分筆地も広く残すことができ、土地活用での収益性が高まる
  • 居住スペースが広くとれ、プラン対応力が高まる
  • スケールメリットで1世帯あたりの建築費削減も期待できる

↓

土地を最大限活用でき、収益も増えるB案を推奨

セキスイハイムの提案

最終提案においては、B案をさらに一歩進めて3階建て商品での提案を行った。間取りの面でも将来的に近隣物件との競争力を高く維持できるよう配慮した。部屋の向きに関しては、東側には住居が立ち並びプライバシー面でのストレスを近隣住民、入居者共に感じさせてしまうため、開けた西側に各世帯を向けた。既存の建物も同様の向きで建てられており入居者も得られていたことから問題ないと考えた。

より敷地を有効活用できる3階建てで収益力を最大化

より敷地を有効活用できる3階建てで収益力を最大化

3階建 合計14世帯 建築面積250.22㎡  延床面積603.57㎡
    2DK(47.77㎡)×9世帯
    1K(27.16㎡)×4世帯
    2LDK(55.14㎡)×1世帯
自動二輪自動車置場 6台分 駐輪場

  • 2DKを中心に広めの1K、最上階の2LDKの3つの間取りでターゲットへの対応力を高め、総戸数を14世帯以内に収めた。
  • 2層での提案と比較しても年間の収益で数百万円の増収が見込め、収支的には一番勧められる計画である。
  • 屋上には太陽光発電システム9.72kWを搭載。国や自治体の補助金を受けることができるため、低コストで導入し毎月安定した売電収入を得ることができる(セキスイハイムの試算では年間40万円程度)。

オーナー様の決断

オーナー様はイニシャルコストと家賃収入のバランスや、将来を見据えた敷地の効果的活用などを比較検討した結果、当初の要望を満たすこのプランに決定された。また、事前にセキスイハイムの生産工場をご覧になり、セキスイハイムの品質の高さの理由をご納得されたことも決め手となった。

完成邸ギャラリー

ターゲットである新婚家庭やDINKSを惹きつけ、長く住んでいただける充実した仕様の3階建てマンションを建築された。

  • 袖壁・植栽・照明を施した高級感のある外構
  • 3口コンロのキッチン、セミオート・追い炊き・乾燥機能付浴室など最上級仕様の水回り
  • シューズインクロゼット・ウォークインクロゼットなど大型収納
  • 後付けしにくい中部屋にエアコンを設置
  • オートロック・防犯シャッターの採用
建物を敷地東側に寄せて道路から離し、入居者のプライバシーを守りつつ駐車場用地も広く確保。

建物を敷地東側に寄せて道路から離し、入居者のプライバシーを守りつつ駐車場用地も広く確保。10年後を想定している2棟目建設の際も、ゆとりをもった配置計画を考えることができる。

アプローチにはオートロックのエントランスにはダウンライト付きの庇を設け高級感を演出。

アプローチにはオートロックのエントランスにはダウンライト付きの庇を設け高級感を演出。

大容量9.72kWの太陽光パネルを搭載。屋根まで有効活用して収益性を最大限に高めている。

大容量9.72kWの太陽光パネルを搭載。屋根まで有効活用して収益性を最大限に高めている。

2DKの部屋は半透明のスライディングウォールを開放すれば開放感ある1LDKに。キッチンは3つ口タイプを採用。

2DKの部屋は半透明のスライディングウォールを開放すれば開放感ある1LDKに。キッチンは3つ口タイプを採用。

広い洗面と浴室。浴室は鮮やかな壁パネルとワイドミラーが印象的。

広い洗面と浴室。浴室は鮮やかな壁パネルとワイドミラーが印象的。

たっぷりとした収納量を確保した玄関の大型シューズインクローク。

たっぷりとした収納量を確保した玄関の大型シューズインクローク。

大型ウォークインクロゼットで戸建て感覚のゆとりある暮らしを実現。

大型ウォークインクロゼットで戸建て感覚のゆとりある暮らしを実現。

オーナー様より

 企業であるからには利益を上げることが大前提で、建設が遅れることは即減収につながります。セキスイハイムのユニット工法は構造体に信頼が持てることはもちろん、工期が短くすぐに収益を上げられること、仕様が魅力的で建築費に対する採算性もよかったことが決め手になりました。また担当の桃井さんが落ち着いた方で、法規面の対応も含め丁寧に物事を進めてくださるので非常に安心感がありました。設備はグレードの高いものにしましたが、今後の市場性や入居者志向を考えると納得のいくものです。これから10年ほどこの建物で収益をあげ、その後はコインパーキングの敷地を活かしてもう1棟賃貸住宅を建てたいと考えています。

賃貸住宅経営を始める人におすすめ! 3つの市場調査

1.周辺状況・家賃相場レポート 2.将来需要予測 3.相続税計算